新年のご挨拶 2020年

新しい年を迎えました。
ビブリオバトル普及委員会の活動は今年で11年目となります。
普及委員会を代表して年頭のご挨拶を申し上げます。

まずは、昨年のできごとを振り返りたいと思います。
2019年11月13日(水)に、通算6回目となる「ビブリオバトル・シンポジウム2019」を、図書館総合展運営委員会と共催にて実施しました。
新機軸となる「ビブリオバトル主催における機能と可能性」というテーマを掲げ、図書館・出版・書店の各業界からパネリストをお招きした昨年のシンポジウムは、多く方々から注目をしていただくことができました。
「ビブリオバトル・シンポジウム」は毎年の開催ごとにテーマを模索し続けておりますが、これまで頻繁に語られてきた発表者側の視点ではなく、主催者側の視点から捉え直してみました。
登壇いただいたパネリストの方々のお力添えもあり、ビブリオバトルを効果的に開催するための示唆を得ることができたように思います。

また、大学生・高校生・中学生による全国大会も、活字文化推進会議のご協力のもとに、恒例イベントとしてそれぞれ継続的に開催されています。
第5回目となる「全国高等学校ビブリオバトル2018」の決勝大会は、2019月1月20日(日)によみうり大手町ホールにて開催されました。
また、第2回目となる「全国中学ビブリオバトル」の決勝大会は、2019年3月24日(日)によみうり大手町ホールにて開催されました。
そして、節目となる第10回大会となった「全国大学ビブリオバトル2019〜首都決戦〜」は、2019年12月23日(日)に本戦が開催されました。

このうち、大学生大会はつい先日に本戦が行われたものです。
第10回大会のグランドチャンプ本を獲得したのは、群馬大学1年の中山息吹さんでした。
大会最後のインタビューのなかで、中山さんは次のような印象的なエピソードを語ってくれました。

中山さんは高校3年生のときにビブリオバトルの地方予選大会を勝ち抜き、「全国高等学校ビブリオバトル2018」の決勝大会に出場する権利を手にしました。
しかし、あいにく決勝大会の日程がセンター試験と重なってしまったため、泣く泣く「全国高等学校ビブリオバトル2018」を辞退することになってしまったそうです。
そして中山さんは大学生に入学後の2019年に、改めてビブリオバトルの全国大会に挑戦してくれました。
悔しい思いをした1年前の高校3年生のときと同じ本を再度紹介し、見事に予選会を勝ち抜き、そのままの勢いでグランドチャンプ本を獲得するに至りました。
とてもドラマチックな展開であり、見事としか言いようがありません。

昨年と一昨年の年頭の挨拶でも、高校生大会と大学生大会につながりが感じられるようになっているという思いを書き記しました。
毎回のように、バトラーたちの個人的なエピソードに感心させられています。
全国から集ってくる出場者たちが、ビブリオバトルというゲームとどのような形で関係を結び、どのような気持ちで全国大会に出てきているのか。
表舞台で繰り広げられる本の紹介がすばらしいのはもちろんですが、ビブリオバトルに取り組む姿勢も含めて、それぞれの胸の内を語ってもらいたくなります。

第10回目の「全国大学ビブリオバトル2019」の冒頭で、ビブリオバトル普及委員会を代表して挨拶をすることになりました。
オープニングに過去の大会の様子が紹介されたこともあり、この10年間の全国大会を総括するようなコメントをしました。
2010年に始まった大学生のビブリオバトル全国大会は、初期の頃は「ここから全国に普及をしていく」という意気込みのようなものがあったように思います。
「大学生同士が戦いのなかで切磋琢磨する姿を通して、大学で生まれたビブリオバトルというゲームを多くの聴衆に観てもらう」という形式が、ビブリオバトルの誕生から早い段階ででき上がったことは、ビブリオバトルの歴史にとってとても意義のあることだったと思います。
その後、2014年からは高校生の全国大会へと広まりを見せ、さらに2017年から中学生による全国大会も開催されるようになりました。
また、生駒市で実施されている全国大会をはじめとして、社会人によるビブリオバトル大会も珍しいものではなくなってきています。
全国各地の自治体レベルでの大会も、開催事例がますます増えてきているようです。

2010年に始まった大学生による全国大会「ビブリオバトル首都決戦」は、当初は全国的な普及活動の最先端に位置づけられていたように思います。
ところが10年という時間が経ってみると、ほかにもいろいろな大会が生まれてきていることもあり、大学生大会の特別感が相対的に薄れてきたようにも感じています。
特別感が薄れてきたというのは決して悪い意味ではなく、ビブリオバトルが世の中の至るところに広がったことで日常風景の一部になっていることであり、現時点で見えてきた到達点とも言えるでしょう。
もちろん出場するバトラーにとっては、全国大会に出ることの名誉や特別感は、今日でもかけがえのないものであることは変わりはありません。
とはいえ、10年間という時間の流れは短いものかもしれませんが、それでも人々の生活が変わるには十分な時間が過ぎています。
短いながらも、そこから活動の蓄積を感じとることができます。

大学生大会の初期の出場者は既に30歳前後の年齢になっていて、社会人として全国のあちこちでビブリオバトルを楽しんでくれています。
そして今回の第10回大会の出場者は、2010年に大学生大会が始まった頃はまだ小学生で、ビブリオバトルという言葉も知らなかったはずで、その後に成長するなかでビブリオバトルの存在を知って、あの日あの場所の舞台に立ったのだという時間の流れも想像してしまいます。
たまたまそれぞれの時代に大学生として過ごしている若い世代が、4年間の学生生活のなかで、ビブリオバトル普及の歴史に名前を刻んでいきます。
皆が皆、ビブリオバトルの全国大会という歴史の一部になっていきます。
高校生大会も中学生大会も、毎年のようにドラマチックなビブリオバトルが展開されています。
こうした全国大会が年に1回の大きなイベントとしてすっかり定着したことで、ビブリオバトルの普及活動にも1年ごとのリズムが生まれてきました。
ビブリオバトルを楽しむ文化がこうして少しずつ形になってきている、そのことを改めて喜びたいと思っています。

そのほか、「ビブリオバトル・シンポジウム2019」と同じ日に、通算4回目となる「Bibliobattle of the Year 2019」の大賞の授賞式も行いました。
今回の大賞機関となったのは「佐世保市立図書館」で、賞を創設してから初めての公共図書館の受賞となりました。
同館の司書・田中裕子さんが、大賞受賞式で記念のスピーチをしてくださいました。
心に残るようなとても印象的なスピーチで、公共図書館でのビブリオバトルの導入や展開には、まだまだいろいろな可能性があることを教えてくださいました。
すぐそばでお話を聞きながら、ビブリオバトルの普及活動に取り組んできたこの10年間に感謝したい気持ちになりました。

Bibliobattle of the Yearという表彰の仕組みを通して、ビブリオバトルというゲームを楽しんでくれている人たちが、全国のあちこちにいることを確認できます。
これからも継続的な普及活動が必要とされていることを、改めて痛感しました。
ビブリオバトル普及委員会として、まだまだやらなければならないことやできることがありそうです。

今年もいろいろな場所で、ビブリオバトルを楽しんでもらえますように。
新しい名勝負が生まれますように。
一人でも多くの人たちに、「本を語る」ことの楽しさが伝わりますように。

最後になりますが、ビブリオバトルの普及活動を支えてくださっているサポーター会員の皆さまには、ビブリオバトル普及委員会を代表して改めてお礼を申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020年1月1日

ビブリオバトル普及委員会代表
岡野 裕行
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