新年のご挨拶 2018年

2018年を迎えました、あけましておめでとうございます。

2010年からのビブリオバトル普及委員会の活動も、今年で9年目を迎えます。
2007年の誕生から数えると12年目となり、干支もひと周りすることになります。
時間の流れは早いですね。
日々の生活のこと、身の回りのできごと、学校や仕事のこと、家族や友人・恋人のこと、読書の遍歴や習慣のこと、興味・関心のこと、集めてきた本のこと、手放してしまった本のことなど、私たちが自身に起こった変化を感じるには、十分な時間が過ぎてしまったようにも思います。
「歴史」という言葉をつかうのはまだ早いかもしれませんが、ビブリオバトルの普及活動にも、それなりに時間の流れを感じるようになりました。

昨年12月17日、「全国大学ビブリオバトル2017〜首都決戦〜」の決勝戦が、東京・よみうり大手町ホールで行われました。
http://zenkoku.bibliobattle.jp/
その当日、私は司会者として大会の運営に関わりました。
本番前のリハーサル時に出場者の名簿を渡された際に、出場者36人のうちの数名に、ちょっとした目印がついていることに気がつきました。
スタッフの方から、「過去の全国高等学校ビブリオバトルの決勝大会にも出たことがある学生です」と、その意味を教えてもらいました。
数年前の高校生たちが大学生になってからもビブリオバトルを続けており、激戦となっている各地区大会から見事に勝ち上がって、再び全国大会の舞台に立っている学生が少なくないという事実に驚かされました。
そして同時に、とても嬉しい気持ちにもなりました。

参加者それぞれが高校の制服を着て、自分の言葉をまっすぐに伝えていた過去の高校生大会を思い返しました。
そしてそれから時間が経ってみて、それぞれが大学生らしい本を選ぶようになり、聴き手の心に響くような言葉を大胆に選びながら発表している姿を目の当たりにしました。
司会という立場上、ステージ上のすぐそばで話を聴くことになりましたが、ビブリオバトルを通した一人ひとりの成長物語を見せてもらったような気分になっていました。

2017年は、大学生の全国大会が8回目、高校生の全国大会は4回目となります(高校生の決勝大会は2018年1月28日に開催予定です)。
それぞれ別の歴史を持っている大会ですが、昨年の大学生の決勝大会に過去の高校生大会の出場者が次々と出てきたことは、それらがはっきりと繋がって見えてくるようになった象徴的なできごとだったと思います。
ビブリオバトルは小中高等学校や大学、まちの公共図書館、地域コミュニティなど、さまざまな場所で開催されるようになってきましたが、それらは全国各地に別個に存在するものではなく、相互に繋がっているものであることを改めて感じさせてくれました。

卒業・進学・就職・転職・結婚などのタイミングで、私たちの人生には転機が訪れます。
それは予定通りに話が進んだということもあるかもしれませんが、予想外で偶然によるものも少なくないでしょう。
そのときどきの節目で、私たちは自分たちの居場所を変えたりしますし、変わることは珍しくありません。
たとえ住む場所が変わり、日常生活で関わり合う人が変わり、馴染んでいた空間から離れることになったとしても、新しい生活のなかにも読みたい本が身近にあって、本に関するおもしろい話題を見つけることもできるでしょう。
そして、新しいコミュニティでもビブリオバトルを楽しむことができて、新しく出会った人たちと新しい居場所をつくることもできます。

ここ数年、ビブリオバトルを通じてたくさんの人たちに出会うなかで、そういった変化の事例をたくさん見たり聞いたりしてきました。
いろいろな場面で、「ビブリオバトルに出会って人生が変わった」という言葉を耳にしました。
ビブリオバトルというゲームが、それぞれの暮らしのなかで出会ってきた本を通じて、みんなで楽しく語り合える場をつくり続けていることの意義を改めて感じます。

おもしろい本と出会うことや人と出会うことの意味は、そのときそのタイミングでは気がつけないかもしれません。
とはいえ、しばらく時間が経ってから振り返ってみると、そのときその瞬間こそがターニグポイントだったと気がつくことは、人生において決して珍しいことではないでしょう。
ビブリオバトルというゲームがそういう瞬間を創出できるように、より一層私たちの生活を豊かにする身近な存在になりますように、本年も普及活動に努めてまいります。

ビブリオバトルを日々の暮しのなかで気軽に楽しんでくださっている世界中のみなさま、おもしろくてためになる本を生み出してくださっている著者や出版社のみなさま、私たちに本との出会いの場をつくってくださる書店・古書店・図書館・教育関係者のみなさま、いつもありがとうございます。
そして、ビブリオバトルの普及活動を毎年のように支えてくださっているサポーター会員のみなさまにも、ビブリオバトル普及委員会のメンバーを代表して、改めて感謝を申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018年1月1日

ビブリオバトル普及委員会代表

岡野 裕行