新年のご挨拶2021年

あけましておめでとうございます。

ビブリオバトル普及委員会を代表して、年頭のご挨拶を申し上げます。


2010年に始まったビブリオバトル普及委員会の活動は、今年で12年目を迎えます。

これで干支もひと回りすることになります。

活動初期の頃を振り返ってみればあっという間のできごとのようですが、人の成長や組織の成熟のために必要な時間の長さを考えてみても、世の中のさまざまな方面へとビブリオバトルが広がっていくために必要な時間だったようにも思います。

普及活動が始まった頃と比べても、ビブリオバトルを取り巻く状況や社会的評価は大きく変化し、世の中の仕組みや価値観もずいぶんと様変わりしています。


2020年を振り返ったとき、特に大きな変化として私たちの記憶に強く刻まれたことは、日常的な会議や教育カリキュラム、イベント開催・運営などのさまざまな活動が、オンラインという手段を活用する形へと置き換わったことでしょう。

2021年になっても未だCOVID-19は収束の見通しは立っておりませんが、その影響を受けたことで、2020年は世界規模でさまざまな活動が制限されてしまった1年間となりました。

ビブリオバトルも同様に従来のような対面の開催が困難となったため、オンラインによる開催が激増する結果となりました。


全国規模の大会としては、2020年1月26日(日)に開催した「第6回全国高等学校ビブリオバトル」までは日程的にも実施することができましたが、2020年3月29日(日)に予定されていた「第3回全国中学ビブリオバトル決勝大会」は、2020年3月10日(火)の時点で中止という決定がなされました。

https://katsuji.yomiuri.co.jp/archives/4863

https://katsuji.yomiuri.co.jp/archives/4905

また、年度が変わった2020年7月22日(水)には「第7回全国高等学校ビブリオバトル」「第4回全国中学ビブリオバトル」、2020年8月7日(金)には「全国大学ビブリオバトル2020」の開催中止を告知しました。

いずれも毎年恒例の大規模なイベントして定着してきましたが、COVID-19が収まらない状況を考慮して苦渋の判断となりました。

https://katsuji.yomiuri.co.jp/archives/4933

http://zenkoku.bibliobattle.jp/home/news/tournament-canceled


その後、大学生大会については、オンラインによる代替大会の実施を検討し、2020年10月12日(月)に「大学ビブリオバトル・オンライン大会2020」の開催情報を公に致しました。

http://zenkoku.bibliobattle.jp/home/news/alternative

https://univ-online.bibliobattle.jp/home

2020年11月28日(土)より毎週末に予選会を開き、本戦(準決勝および決勝)は2020年12月19日(土)・20日(日)の2日間にわたって開催しました。

例年であれば、準決勝から決勝は1日のなかで行ってしまうスケジュールとなりますが、初めて2日間という枠のなかで実施したこともあり、例年よりもゆったりとした時間が流れていきました。

出場したバトラーのみなさまも、オンライン経由でご視聴いただいた観客のみなさまも、例年とは違った楽しみ方ができたように思います。

通常の大会とはスケジュールや運用形態が異なるなど、代替大会の実行委員のメンバーも模索しながらの開催となりましたが、特に大きな問題もなくオンライン大会を終えられたことで、ビブリオバトルの楽しみ方がまた一つ広がったようにも思います。


決勝戦の直前には、今年度の「Bibliobattle of the Year 2020」の大賞授賞式も行いました。

https://bibliobattle-award2020.mystrikingly.com/

2016年に初めて実施してから、通算して5回目の授賞式となります。

今年度の大賞受賞機関は、「長崎県をビブリオバトルの強豪県にしていきたい!」という目標を掲げているNBCラジオ「ラジオ DE ビブリオバトル」でした。

https://www.nbc-nagasaki.co.jp/radio/radio-de-bibliobattle/

ビブリオバトルが始まった頃は、対面での開催が前提となっていましたが、ウェブ会議システムを用いたオンラインでのビブリオバトルが一気に普及したこともあり、結果的に2020年という時代を反映する取り組みに注目が集まったようにも思います。

また、2020年12月26日(土)には、NBCラジオ主催で「高校生ビブリオバトルオンライン大会」も開催されるなど、さらなる普及活動にも貢献していただきました。

オンラインによるビブリオバトル大会は始まったばかりであり、まだまだ伸び代があるように感じています。

https://www.nbc-nagasaki.co.jp/radio/radio-de-bibliobattle/online-bibliobattle_20201226/


そして例年11月上旬に開催されている図書館総合展には、「ビブリオバトル・シンポジウム」の開催場所のご提供をいただいておりましたが、こちらも2020年度は全面的にオンライン開催となりました。

https://2020.libraryfair.jp/

そのため、当初は対面イベントとして「ビブリオバトル・シンポジウム2020」を企画しておりましたが、オンラインによる開催として企画を練り直すことになりました。

https://bibliobattle.wixsite.com/symposium2020

https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f028

今年度は「ちいさいコミュニティ」という開催テーマを掲げ、「ちいさい」「身近な」「プライベート」などをキーワードとして、ビブリオバトルの原点でもあるコミュニティ型について、6人のパネリストがオンライン形式で座談会を行いました。

2020年11月21日(土)よりYouTubeにてシンポジウムの動画公開を始めています。

https://youtu.be/pSV8vZ28vs8

ビブリオバトルというゲームが普及し始めてから10年以上の時間が経っていますので、パネリスト6人のそれぞれのライフステージのなかで、ビブリオバトルとの関わり方にも少しずつ変化していることがわかります。

「ちいさいコミュニティ」という共通テーマを掲げてみると、ビブリオバトルというゲームはみんなのものでありながら、それと同時に個人的なものでもあることが見えてきます。


2014年に「ビブリオバトル・シンポジウム」という事業を始めてから、ビブリオバトルそのものの特徴について考える機会が毎年のように用意されています。

個人的なビブリオバトル体験を積み重ねた先に、どこかの誰かのためにビブリオバトルというゲームそのものを語る場を設けてみることで、新たな楽しみ方や開催のための課題を共有することができるようになったわけです。

ビブリオバトルの楽しみ方を増やし、ゲームとしてのおもしろさを育てていくのは、それに参加しているすべての人たちであることがわかります。

ビブリオバトルについて語り合ううちに、「私にとってのビブリオバトル」から「私たちにとってのビブリオバトル」へと視点が変わっていきます。

「ビブリオバトルとの出会い」「ビブリオバトルへの参加」「ビブリオバトルの主催」「ビブリオバトルの普及活動」など、私たち一人ひとりに特別な物語がありますが、毎年のパネリストのお話を伺うたびに、ビブリオバトルというゲームのおもしろさと公共性を強く感じます。


本は個人的に読むためのものでありつつ、本は誰かのために語るための材料にもなります。

「本を読むことのおもしろさ」と「本について語ることのおもしろさ」、そして「本について語り合う場所をつくることのおもしろさ」について、ビブリオバトルというゲームへの参加を通して、今年もたくさんの人たちに感じていただけたらと思います。


最後になりますが、こうしたビブリオバトルの普及活動を支えてくださっているサポーター会員の皆さまにも、ビブリオバトル普及委員会を代表して改めてお礼を申し上げます。


どうぞお気軽にビブリオバトルにご参加ください。

ビブリオバトルをみんなのために主催してみてください。

ビブリオバトルに誰かを誘ってみてください。

私たちが語りたくなるような本は、毎日の暮らしのなかでたくさん生まれ続けています。

ぜひそのなかの一冊を手に取り、読んでみて楽しんでみて、そのおもしろさをあなたの言葉にして語ってみてください。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2021年1月1日

ビブリオバトル普及委員会代表

岡野 裕行